
ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」について質問です。先日、中途採用した外国人の手続きを行う際、前任者から引き継いだ過去のファイルをめくっていたところ、1年前に雇用したパートタイムの外国人留学生の届出が出されていない可能性が出てきました。すでにその留学生は退職しているのですが、今からでも何かペナルティを受けるのでしょうか?
また、今後このような漏れを防ぐために、人事としてどのような管理体制が必要になるのか教えてほしいです。

ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、外国人の雇い入れまたは離職の際の「外国人雇用状況の届出」を怠った場合、あるいは虚偽の届出をした場合には、「30万円以下の罰金」という刑事罰が科される対象となります。
今までは「うっかり忘れていた」「アルバイトだから後でまとめて出せばいい」といった甘い運用で実質お咎めなしで済んでいたケースもあったかもしれませんが、昨今の不法就労対策の強化に伴い、企業のコンプライアンス(法令遵守)に対する入管や労働局の目は年々厳しくなっており、すでに離職しているスタッフであっても、過去の未届けが発覚すれば、企業としての社会的信用を大きく失うリスクがあります。
この記事を読んでいただいている方々の中には、もしかすると「うちの会社、過去のアルバイトや中途採用の外国人の届出、本当に全部出せているかな……」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
人事担当者の皆様にとっては、日々の煩雑な業務の中で、雇用形態ごとの期限や提出方法を正確に管理するのは大きなプレッシャーとなります。結論として、未届けは30万円以下の罰金の対象となりますが、今からでも適切な対応を取ればリスクを抑えられます。まずは何が義務付けられており、万が一忘れた場合にどうなるのか、一緒に詳しく確認していきましょう。
1. 外国人雇用状況の届出の基本ルールと未届けのリスク
すべての事業主は、外国人の雇い入れ及び離職の際に、その外国人の氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ届け出ることが法律(労働施策総合推進法)で義務付けられています。これは、国が外国人の雇用動向を把握し、不法就労の防止や適正な雇用管理を推進するためです。
これまでの「知らなかった」「悪気はなかった」では済まされない時代だからこそ、ルールの徹底が求められます。具体的にどのようなリスクやペナルティがあるのか、基本運用と不届け時の影響を表にまとめました。御社のこれまでの手続きは、これらの期限やルールをクリアできているでしょうか? ぜひチェックしながらご覧ください。
| 項目 | 外国人雇用状況の届出の 基本ルール |
遅延・不届け時のリスク (ペナルティ) |
|---|---|---|
| 対象となる 外国人 |
雇用するすべての外国人(特別永住者を除く、アルバイト・派遣含む) | 雇用形態(正社員・パート等)を問わず、1名でも漏れると対象 |
| 提出期限(雇用保険対象) | 雇入れ・離職の翌月10日まで(雇用保険の手続きと同時) | 期限を過ぎるとハローワークの窓口で指摘され、指導の対象となる |
| 提出期限 (雇用保険対象外) |
雇入れ・離職の翌月末日まで(週20時間未満のアルバイト等) | 期限を1日でも過ぎると法律違反となり、遡及しての対応が必要 |
| 企業への影響(罰則等) | 適切な雇用管理を行っているとみなされる | 30万円以下の罰金(刑事罰)。企業の「前科」となり社会的信用失墜 |
| その他の 連動リスク |
入管等との情報連携がスムーズに行われる | 入管の在留審査(ビザ更新等)で会社側の不備が発覚し、雇用継続不可に |
2.人事担当者が直面する「対象者・雇用形態別」の届出ルール
人事の皆様にとって、実務で特に遭遇する頻度が高い、あるいは迷いやすい「4つの重要パターン」について詳しく解説します。
| パターン | 概要、主な確認・必要事項 |
|---|---|
| ①「雇用保険の加入対象者」の届出(正社員・フルタイム契約社員など)
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週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある外国人の場合です。この場合は、通常の「雇用保険被保険者資格取得届(または喪失届)」の提出が、そのまま外国人雇用状況の届出を兼ねる形になります。
▼主な確認・必要事項
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| ②「雇用保険の加入対象外」の届出(週20時間未満の留学生・家族滞在アルバイトなど) | 週の労働時間が短い学生アルバイトなどの場合、雇用保険の手続きが発生しないため、別途「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を単独で提出する必要があります。人事の現場で最も「出し忘れ」が発生しやすいのがこのパターンです。
▼主な確認・必要事項
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| ③「派遣労働者」を受け入れる場合の届出ルール(※要注意)
|
「派遣社員として外国人が自社に配属された場合、届出はどちらが出すのか」という点です。結論として、外国人雇用状況の届出義務は「雇用契約を結んでいる派遣元企業(派遣会社)」にあります。ただし、派遣先企業(受入企業)も無関係ではありません。
▼主な確認・必要事項 多くの現場で発生するのが、「派遣元が届出を忘れており、派遣先で不法就労(在留期限切れなど)が発覚し、派遣先企業も巻き込まれて炎上する」というケースです。派遣先であっても、受け入れる外国人の在留カードのコピーを提出してもらい、有効期限や資格外活動許可の有無を自社でトリプルチェックしておくことが、企業防衛のために極めて重要です。 |
| ④「外国人従業員の離職」時の届出(自己都合退職・契約満了・解雇など) | 入社時(雇入れ時)の届出は熱心に行うものの、退職時(離職時)の届出を忘れてしまうケースが多発しています。外国人が会社を辞めた際も、入社時と同様にハローワークへの届出が必要です。
▼主な確認・必要事項
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【行政書士からの実務アドバイス】
もし「過去の未届けが今になって発覚した!」と焦ってしまった方も、まだ諦める必要はありません。放置して監査や通報で発覚する前に、自発的にハローワークへ行き、過去の経緯を説明して遅れてしまった旨を報告のうえ、速やかに遡って届出を行ってください。自発的な是正措置を取ることで、一発で悪質な企業として刑事告発されるリスクを最小限に抑えることが可能です。
3.組織・担当者としての届出管理プロセス
人事担当者の皆様が、採用・退職の発生時にパニックにならず、提出期限を確実に守り、社内のコンプライアンスを強固にするための準備として、下記の5ステップを進めていきましょう。
| ステップ | 対応内容 | 現場でのチェックポイント |
|---|---|---|
| ① 採用フローの仕組み化 | 内定から入社時における「在留カード確認」の徹底 | 内定を出した時点で「在留カードの両面コピー」を求め、偽造でないか、就労不可の資格でないかを必ずチェックする。 |
| ② 雇用形態の即時判定 | 週の労働時間による「提出パターンの切り分け」 | 雇用保険の「対象(翌月10日まで)」か「対象外(翌月末日まで)」かを、契約書作成と同時に明確に分類し、タスク管理に登録する。 |
| ③ 届出書の作成と内容確認 | ハローワーク等から最新の様式・電子申請画面を入手 | 在留カード番号の1桁間違いや、氏名のスペルミスだけでも差し戻し(タイムロス)になるため、カード原本の表記と一言一句違わないかダブルチェックする。 |
| ④ 電子申請(資格取得等)の活用 | ハローワークインターネットサービス等の導入 | 窓口持参や郵送の手間を省くため、電子申請(e-Govやハローワークのシステム)を導入し、オフィスにいながら即時提出・エラーチェックができる環境を整える。 |
| ⑤ 在留期限の定期アラート管理 | 雇入れ後の「有効期限」のモニタリング体制構築 | 届出を一度出したら終わりではなく、Excelや人事労務システムに「在留期限」を入力し、期限の3ヶ月前に担当者に自動アラートが飛ぶ仕組みを作る。 |
4.おわりに
今回の「外国人雇用状況の届出」のルールは、一見ルーティンワークの細かい手続きに思えるかもしれません。しかし、現場で外国人の適正な雇用管理を支える人事担当者の皆様にとっては、不法就労という企業の致命傷になりかねないリスクを未然に防ぎ、外国人労働者が安心して働ける環境を最前線で守るという、非常にコンプライアンス上の重要度が高い業務です。
一方で、「アルバイトだからそのうち出せばいい」「退職したからもう関係ない」と手続きを放置していると、ある日突然、労働局や入国管理局からの調査が入り、「法律違反・届出怠慢」として、経営陣を含めた罰金刑や社名公表など、業務継続に深刻な影響を与える最大の経営リスクを抱えることになります。
「もし過去の届出に不安があるなら、今のうちに履歴を総点検しておこう」「もしこれから外国人を採用する予定があるなら、今すぐ確認フローを整備しよう」と、先手先手で動くことが何よりも大切です。
まずはご自身が担当している外国人従業員(アルバイトを含む)の一覧と在留カードの情報を今一度整理し、各現場のマネージャーや店舗責任者様と、今後の「採用・退職予定の有無」について、今のうちから密なコミュニケーションを取っておくことを強くお勧めします。
外国人雇用状況の届出の手続きや、自社の外国人雇用体制の点検について少しでもご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。



