
2027年から登録支援機関のルールが厳しくなると聞きました。現在、私はパートタイムで複数の拠点の支援担当を兼務していますが、このまま働き続けられるのでしょうか? また、会社としてどのような体制変更が必要になるのか、現場目線で教えてほしいです。

ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、2027年4月1日から「支援責任者」と「支援担当者」の常勤化が必須となります。今までは「名前だけ借りる」「パートスタッフが片手間で対応する」といった運用が許容されるケースもありましたが、今後は「1事務所1常勤職員」という高いハードルが課されます。
現在、全国に約11,300件ある登録支援機関のうち、約8割が実質的に稼働していない「ペーパー支援機関」とされていますが、今回の厳格化によって業界の大規模な淘汰が始まります。
この記事を読んでいただいている方の中には、もしかすると「うちの事務所、今の体制のままで大丈夫かな……」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。現場の職員の方にとっては、雇用形態の変更や担当件数の調整など、働き方に直結する大きな転換点となります。まずは何がどう変わるのか、一緒に確認していきましょう。
目次
1.登録支援機関の要件厳格化(2027年予定)とは
2027年4月1日の施行を目指す「育成就労制度」の導入に伴い、外国人への支援の質を担保するため、登録支援機関には「場所」と「人」の実態が強く求められるようになります。これまでの「誰でも登録できる時代」から、厳しい基準をクリアした機関だけが生き残る「質の時代」へと変わるのです。具体的にどう変わるのか、現行制度との比較を表にまとめました 。御社の場合、現在の体制でこれらの要件をクリアできそうでしょうか? ぜひチェックしながらご覧ください。
| 現行制度 | 2027年4月以降(予定) | |
|---|---|---|
| 設置単位 | 法人全体(組織全体)で1名以上 | 事務所(拠点)ごとに設置が必要 |
| 勤務形態 | 非常勤(パート等)も可 | 常勤の役職員に限る(責任者・担当者とも) |
| 経験要件 | 明確な規定なし | 過去5年間に2年以上の生活相談業務経験 |
| 教育義務 | 特になし | 過去3年以内の告示講習修了が必須 |
| 担当上限 | 制限なし | 担当者1人あたり外国人50人・受入企業10社以下 |
| 情報公表 | 特になし | 実績・費用のネット公表が義務化 |
| 業務制限 | 比較的緩やか | 他事業所との兼務不可(原則) |
2.現場スタッフが直面する「支援責任者・担当者」の新ルール
職員の皆様にとって、特に影響が大きい「4つの重要ルール」について詳しく解説します。
| ① 「パートで支援」が困難に 支援担当者も常勤化 |
支援責任者だけでなく、実際に動く「支援担当者」も常勤が必須となります。現在パートタイムで働いている方は、正社員(常勤)への転換を会社に求めるか、あるいは周辺業務等の「補助」へ移行せざるを得なくなる可能性があります。また、原則として他の事務所との兼務はできなくなります。 |
|---|---|
| ② 支援責任者・担当者に求められる 「2年以上の生活相談経験」 ※要注意 |
新要件では、過去5年間に2年以上、中長期在留者の「生活相談業務」に従事した経験(報酬を伴う実務に限る)が必要になります。
|
| ③ 1人あたりの支援上限 「50人・10社」の厳格化 |
1人の担当者が抱えられる上限が、法的にきっちり制限されます
※皆様の事務所では、1人の担当者様に業務が集中していませんか?これにより、「1人の担当者が30社、200人を担当する」といった、現場の過酷な労働環境や形式だけのずさんな支援が法律で禁止されることになります。 |
| ④ 実績・費用の インターネット公表義務(新設) |
機関ごとの「支援実績」や「委託費用の内訳(人件費や通訳費など)」をネット上に公開することが義務付けられます。現場のサポート体制の充実度や、適正な人件費がかけられているかどうかが可視化されるため、真面目に手厚く支援を行ってきたスタッフの努力が評価されやすい環境になります。 |
3.職員・組織としての対応プロセス
現場スタッフの皆様が、改正後の2027年以降もスムーズに業務を継続し、キャリアを守るための準備として下記の5ステップを進めていきましょう。
| ステップ | 内容 | 現場でのチェックポイント |
|---|---|---|
| ① 雇用契約の確認 | 自身の契約が「常勤」に該当するか確認。 | 週30時間以上の勤務や、社会保険の加入状況をチェック。 |
| ②相談経験の棚卸し | 過去5年の「生活相談業務」の期間を確認。 | 2年以上の実務経験を職務経歴書として証明できるか。 |
| ③ 拠点配置の整理 | 自分がどの事務所(拠点)に所属するのかを明確化。 | 複数の事務所をまたいで支援を兼務している場合、1拠点に絞る必要あり。 |
| ④ 告示講習の受講 | 法務大臣が指定する告示講習のスケジュールを確保 | 2027年の施行直前は混雑が予想されるため、情報が出次第、早期受講を。 |
| ⑤ 担当件数の再編 | 担当している「企業数」と「人数」をカウント。 | もし10社または50人を超えているならば、 早めに社内で担当の引き継ぎを相談してください 。 |
4.おわりに
今回の法改正は、一見すると非常に厳しいハードルに思えますが、現場で真面目に外国人支援に取り組んできた職員の皆様にとっては、「適正な業務量」と「専門性の評価」が国によって守られるポジティブな側面もあります。
一方で、現在のパート契約や過剰な担当数のままで放置していると、2027年以降の登録更新時に「更新許可が降りず、業務が継続できない」という最大の経営リスクを抱えることになります。
「もし要件を満たしているならば、今のうちにこれをやっておこう」「もし足りない部分があるのなら、今からこう動こう」と、先手先手で動くことが何よりも大切です。
まずはご自身のキャリアと担当状況を整理し、所属している機関の経営層と、今後の「常勤化」や「人員補充」「実務経験の蓄積」について、今のうちから前向きなコミュニケーションを取っておくことを強くお勧めします。
新要件への移行手続きや、自社の体制点検について少しでもご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。



