【相談事例】ついに解禁!物流・倉庫分野の『特定技能』追加で外国人採用はどう変わる?

採用担当者さま

「2024年問題」以降、倉庫内の仕分けやピッキングの人手不足が本当に深刻です。

先日、特定技能に「物流倉庫」分野が追加され、2027年4月から本格始動すると聞きました。これによって私たちの採用はどう変わるのでしょうか?

また、他社に遅れをとらないために、今から会社としてどんな準備をしておくべきか、具体的な注意点を含めて現場目線で教えてほしいです。

行政書士

結論から申し上げますと、2026年1月の閣議決定により、特定技能制度へ「物流倉庫(倉庫管理)」分野の追加が正式決定し、2027年4月からの受け入れ開始(施行)に向けて動き出しています。

これまで倉庫内作業の外国人雇用といえば「技能実習」か、資格外活動の「留学生アルバイト(週28時間以内)」に頼るしかありませんでしたが、ついに現場の即戦力となる「特定技能」の活用が解禁されます。「これでようやく人手不足が解消に向かう!」と期待を寄せる一方で、「うちの会社、今の体制のままで本当に大丈夫かな……」と、漠然とした不安を抱えてはいませんか?

実は、手放しでは喜べない「高いハードル」や「罠」も存在します。今回の追加における受入上限数は3年間で「1万1,400人」と設定されており、全国の倉庫業者で激しい枠の争奪戦(スタートダッシュの成否)が予想されるからです。この記事を読んでいただいている採用担当者様の中には、「うちは出遅れて人材を確保できないかもしれない……」と焦りを感じている方もいるかもしれません。

まずは何が変わり、何に気をつけるべきなのか、現場目線で一緒に確認していきましょう。

1.物流・倉庫分野の「特定技能」追加(2027年4月施行予定)の全体像

慢性的な労働力不足、EC市場の急拡大、そして「2024年問題」に伴う現場の負担増を解消するため、政府は特定技能の対象業種を拡大しました。これにより、特定技能は全19分野となります。

これまでの採用手法と、新しく解禁される特定技能で何が変わるのか、比較を表にまとめました。御社の現在の採用計画と照らし合わせながらご覧ください。

項目 従来の主な選択肢(留学生バイト・技能実習) 新設:特定技能1号「物流倉庫」
勤務形態 留学生は週28時間以内 / 技能実習は原則転籍不可 フルタイム勤務可能(即戦力)、一定の転職権あり
受入上限枠 企業ごとの受入枠はあるが、国全体の総量規制は緩やか 3年間で計11,400人の国全体の上限あり(超過で停止)
雇用形態 直接雇用(技能実習)など 直接雇用のみ(派遣・請負は原則不可)
従事できる業務 技能実習の計画に準ずる(単純作業のみは不可) 倉庫管理業務全般(システム操作や流通加工も含む)
フォークリフト 資格取得や実習計画の制限あり 日本の免許(技能講習等)があれば乗車・主業務化可能
開始時期 随時受け入れ中 2027年4月本格施行(2026年度中に試験開始予定)

2.採用担当者が直面する「業務範囲」と「派遣禁止」の新ルール

新しい制度が始まるのは嬉しいニュースですが、実務においては特に注意すべき「4つの重要ルール」があります 。「知らなかった」では済まされない運用上のポイントを詳しく解説しますので、自社の現場を思い浮かべながらチェックしてみてください。

①業務範囲の罠:「単なる荷転がし」だけではNG

 

特定技能「物流倉庫」で従事できる業務は、単なる荷物の移動(単純作業)だけではありません。

▼認められる主要業務

搬入・搬出、仕分け、流通加工、入出荷検品、在庫管理など。

▼重要な要件

WMS(管理システム)やハンディ端末の操作、データ確認作業が含まれている必要があります。手作業のみの現場は対象外となる可能性があるため要注意です。

【御社への問いかけ】

御社の倉庫では、これらの要件を満たしているでしょうか? もし「現場には一切デジタル端末がなく、すべての工程を手作業だけで完結している」という場合、ビザの要件を満たさない可能性があるため注意が必要です 。もしシステム導入を検討中なら、今のうちに現場のデジタル化を進めておくのが得策です。

②フォークリフト乗車には「日本の資格」が必須 倉庫の主役であるフォークリフトですが、特定技能外国人を乗せるには日本の「フォークリフト運転技能講習」などの修了(免許取得)が必須です。海外の免許は使えません。「即戦力だから明日から乗って」というわけにはいかないため、採用後に自社負担またはサポートで資格を取得させる前提で、スケジュールを組む必要があります。
③【超重要】「人材派遣」での受け入れは原則禁止 農業や一部の分野では派遣での特定技能受け入れが認められていますが、物流倉庫分野においては「直接雇用」のみとなる方向です。皆様の会社では、ふだん人手不足を派遣会社に頼っていませんか? 残念ながら「人手が足りないから、特定技能の外国人を派遣会社からスポットで呼ぼう」ということは原則できません。自社で直接雇用(正社員・契約社員など)として採用し、自社の指揮命令下で働かせる体制を作る必要があります。
④行政書士からのキャリア・採用アドバイス 2027年4月の施行直前になってから「じゃあ求人を出すか」では完全に手遅れになります。なぜなら、3年間で11,400人という枠は、全国の物流大手やEC倉庫がこぞって申請するため、実質的に数ヶ月〜1年程度で枠が埋まってしまう可能性が高いからです。2026年度中にスタートする「技能試験・日本語試験」の動向を追いかけ、合格した人材(または技能実習2号からの移行対象者)を今から囲い込むパイプ作りが必要です。

3.企業としての対応プロセスと「今すぐやるべきこと」

2027年4月のスタートダッシュを決め、競合他社に貴重な即戦力人材を取られないために、今から人事・採用部門が進めるべき「5ステップ」を提案します。

「まだ時間がある」と思わずに、もし該当する項目があれば、今のうちに一つずつクリアしていきましょう。

ステップ 内容 現場でのチェックポイント
①自社業務の棚卸し 現在の倉庫内作業に「システム利用」があるか確認。 ハンディ端末での検品や、PCでの在庫入力業務があるか
②雇用区分の見直し 派遣依存から「直接雇用」へ切り替える社内調整。 直接雇用として受け入れるための人件費予算や就業規則の整備。
③資格取得サポートの準備 フォークリフト免許取得のフロー構築。 外部の教習所との連携や、入社後何日目に受講させるかの計画。
④ルート(候補者)の開拓 技能実習生からの移行、または試験合格者の発掘。 現在自社または関連会社にいる技能実習生で、移行希望者がいるか面談。
⑤ 外部パートナー(登録支援機関)の選定 外国人支援を委託する機関の選定。 法改正(2027年の登録支援機関要件厳格化)に対応できる優良な機関か。

4.おわりに

今回の「物流倉庫」分野の特定技能追加は、人手不足に苦しむ物流業界にとって、慢性的な病を治療するための大きな「特効薬」になり得ます。

一方で、直接雇用のみという縛りや、3年間で1万1,400人という限られたパイプラインを奪い合うことになるため、「情報の早さ」と「事前の社内体制の構築」が勝敗を分けます。「まだ2027年の話だから」と準備を後回しにしていると、いざ制度が始まった時に「上限に達してビザが下りない」「派遣で集めようとしたら違法だった」という最大の機会損失を抱えることになります。

まずは自社の倉庫業務が特定技能の要件に適合しているかを整理し、経営層や現場の責任者と「直接雇用の受け入れ体制」について前向きなコミュニケーションを取ることから始めてみてください。

新分野への移行手続きや、自社の受け入れ体制に法律上の不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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